脇汗のせいで服の色を選ぶようになったり、人前で手を上げる動作がぎこちなく感じたりすることがあります。ボツリヌストキシンを脇に注射すると汗が減ると聞いてご来院される方は多いのですが、本当に気になるのはどれくらい減るのか、どのくらいでまた打つ必要があるのかです。汗の程度と注入する用量、使う製品によって期間は変わるので、数字から確認してカウンセリングに進むほうが安心です。

まず結論から

エラボトックスはボツリヌストキシンを脇の皮膚に浅く分けて注射し、汗腺へ向かう神経の信号を減らす治療です。クリーブランドクリニックの資料によると、ボツリヌストキシンは過剰な発汗(多汗症)に使われ、効果は一時的なため3~4か月ごとに繰り返し、再治療の間隔は3~6か月と案内されています。脇や手のひらではエクリン汗腺(汗を分泌する腺)を狙うという説明がDermNetにあり、製品ごとに定められたユニットは相互に換算できない点は米国医薬品ラベルに記載されています。

汗はなぜ減るのでしょうか? 神経信号を遮断する仕組み

汗は汗腺が信号を受け取って出ます。神経末端からアセチルコリン(神経が腺や筋肉に信号を送るときに使う物質)が出て汗腺の受容体に結合すると分泌が始まります。ボツリヌストキシンAは、神経末端の中で信号物質を含む小胞が細胞膜と融合する過程を遮断します。DermNetはこの過程に関わるSNAREタンパク質が標的だと説明しています。信号が出なければ汗腺は刺激を受けません。

皮膚の断面図を指しながら女性患者と話す男性医師

速度は思ったより速くありません。同じ資料では筋力低下は注射の2~4日後に現れ、10日前後で最も大きく現れます。脇汗もこの流れと大きくは変わらないと案内されていますが、汗の量と範囲によって体感の時期は前後に動きます。

ここでよく誤解が生まれます。「一度打てば汗腺がなくなる」という話ですが、実際には神経信号が一時的に減るだけです。DermNetによれば、影響を受けた神経は3か月ほど経つと新しい末端を出し、神経と汗腺のつながりが再び結ばれます。ですからエラボトックスはなくす治療ではなく、一定期間押さえておく治療と理解するとよいでしょう。

においが主な悩みであれば、話は少し変わります。ボトックスが脇で狙うのは汗の分泌であり、においは汗と皮膚に住む細菌が一緒に作る問題なので、原因をまず分けて考える必要があります。診察室では汗の量とににおいのどちらがより不快かから伺います。

持続期間はなぜ人によって違うのでしょうか?

同じ脇でも汗が出る範囲は違います。脇全体が濡れる方もいれば、内側の一部だけが湿る方もいて、注射すべきポイントの数はここで分かれます。汗の程度が強いと、同じ用量でも体感は短くなります。

繰り返し打つほど間隔が少しずつ広がる場合もあります。DermNetによれば、注射を重ねると神経とつながった組織に少しずつ萎縮が生じ、その結果2回目の治療までに必要な間隔が徐々に長くなるといいます。

製品の違いも変数です。ボツリヌストキシンは国際的に統一された単位がなく、ある製品の1ユニットと別の製品の1ユニットは同じ量ではありません。DermNetはボトックスとディスポートの換算係数を概ね1:2.5~1:5、ボトックスとゼオミンは1:1と示しています。米国ラベルも製品間の効力単位を比較したり換算したりできないと明記しています。ですから「何ユニット打った」という言葉だけでは、他の人の経験と比べるのは難しいです。

施術する人の手も結果に入ります。同じ計画でも、注射ポイントをどこに置き、深さと量をどう分け、施術中に皮膚の反応を見て調整するかによって体感は変わります。ATTITUDE Clinicのコラムでもこの部分を結果が分かれる理由として挙げています。

表1 持続期間はなぜ人によって違うのでしょうか?
区分 脇(多汗症) 顔の表情じわ
狙うところ エクリン汗腺へ向かう神経信号 表情筋の収縮
効果が出る時期 注射2~4日後から、10日前後で最大 同じ仕組みで筋力低下が2~4日後に開始
持続と再治療 3~4か月、3~6か月間隔で繰り返し 同じ
よくある反応 注射部位の痛み、腫れ、赤み、あざ 頭痛、部位によってはまぶたの下垂など

表は左右にスクロールしてご覧ください。

まとめると エラボトックスの持続期間は、汗の範囲と用量、製品、施術方法がともに決めます。他の人のユニット数よりも、自分の汗がどの範囲から出るのか、どの製品を何ユニットでいつまた見るのかを記録しておくほうが比較になります。

施術当日、痛みと準備はどの程度ですか?

細い針で複数のポイントに分けて注射します。クリーブランドクリニックの案内によると、注射の痛みはたいてい軽くすぐ終わり、必要なら局所麻酔薬を塗って進めるといいます。脇は皮膚が薄く敏感なほうなので、針の跡やあざが残りやすいです。

施術前には飲み薬のリストを整理しておくとよいでしょう。抗凝固薬や非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)は注射部位のあざを増やすことがあり、飲酒も赤みやあざに影響します。同じ資料は施術24時間前には酒を飲まないよう案内しています。

施術は外来で終わり、当日帰宅します。以前に他のクリニックで打ったことがあれば、製品名と用量、打った日付、そのときの反応を覚えておくと、カウンセリングがずっと具体的に進みます。

エラボトックス、避けるべき場合はありますか?

米国ラベルは、ボツリヌストキシン製剤の成分に過敏反応がある場合や注射部位に感染がある場合を禁忌としています。心血管疾患がある場合は注意して使い、神経筋疾患を伴うと治療効果が大きくなりうるため観察が必要だと記載しています。アミノグリコシド系抗生物質や筋弛緩薬を併用する場合も効果が強まることがあります。

まれですが重要な警告もあります。注射した部位から毒素が広がり、嚥下や呼吸が難しくなる症状が、注射後数時間から数週間の間に報告された例があります。飲み込みにくい、息苦しい、発音がおかしくなった場合はすぐに診療を受けてください。

国内でどの製品がどの適応症で承認されているかは製品ごとに違います。脇の多汗症で打つ製品なのか、用量はいくらかは、カウンセリングで製品名とあわせて確認するのが正確です。

こんな状況なら

診察室でカウンセリングする医師と患者

結婚式や撮影が2か月後に迫っているとき

効果は2~4日後に始まり10日前後で最も大きく上がるので、イベント2週間前に打てば当日は効果の区間に入っています。持続が3~4か月なので、イベントが2か月後ならもう1回打つ時期もあわせて計算しておくとよいでしょう。

タブレットを持って患者と話す男性医師

夏ごとに同じ悩みが繰り返されるとき

年が変わっても同じ場所で汗が出るなら、3~6か月間隔を基準に季節の初めに合わせる計画が現実的です。繰り返すと間隔が少しずつ長くなることがあるので、毎回打った日付と反応を残しておいてください。

手袋をした男性医師が患者の脇の皮膚を診る様子

脇の皮膚が敏感だったり赤くなりやすいとき

注射の跡やあざができやすい皮膚なら、施術前に皮膚の状態をまず見ます。炎症や発疹がある部位は感染リスクのため注射しません。麻酔クリームを使うか、鎮静管理をあわせて行うかもこのときに決めます。

院内で医師と話す患者のそばにキャリーケースが置かれている様子

短期滞在の海外からのご来院

再治療の間隔が3~6か月なので、短い滞在の間には1回だけ打って帰る場合が多いです。出国日をお知らせいただければ、施術の時期と経過確認の時期を日程に合わせて組みます。

カウンセリングの前に教えてください 最近服用中の薬(抗凝固薬、消炎鎮痛薬を含む)と酒を飲んだ日付、以前のボトックス施術の製品名、用量、日付、反応、注射部位の炎症や発疹、神経筋疾患と心血管疾患の病歴、結婚式や撮影、出国のように避けられない日程。

ATTITUDE Clinicはこのように進めます

  1. 精密診断と皮膚分析 AI皮膚分析で皮膚の状態を記録・整理し、院長と同じ情報を一緒に見ます。分析ツールはカウンセリングを助ける記録にすぎず、医学的診断は行いません。
  2. 院長カウンセリング 汗が出る範囲と程度、以前の施術履歴、服用薬、大切な日程をあわせて考え、どの製品を何ユニットでどのポイントに置くかを決めます。
  3. 院長が直接施術 カウンセリングで立てた計画どおりに院長が直接注射し、施術中に皮膚の反応を見ながら強さとポイントを調整します。
  4. 経過確認と次の間隔 効果が最も大きく上がる時期に合わせて経過を見て、次の施術の時期を記録に残します。

院長が自ら担う4つのステップ

診断機器の前から施術台の上まで、最初にカウンセリングした院長がそのまま担当します。

  1. 独立した診断室にある肌の精密診断機器

    精密診断

    独立した診断室で顔全体を撮影し、目では見えにくい肌の状態まで記録します。

  2. イ・ドンフン共同院長が肌分析の結果を画面で説明する様子

    肌分析

    毛穴・色素・しわ・弾力の結果を院長が画面で一緒に確認し、何から始めるべきかを説明します。

  3. イ・ジェミン共同院長が来院者と1対1で診断結果を見ながらカウンセリングする様子

    1:1デザイン

    肌と顔のバランス、望む変化やスケジュールまで踏まえて、施術と範囲を一緒に決めます。

  4. イ・ジェミン共同院長が自らリフティング施術を行う様子

    院長による施術

    カウンセリングした院長が個室の施術室で最初から最後まで施術します。途中で担当が変わることはありません。

イ・ドンフン共同院長が自ら施術する様子

「注射の痛みには、本気で向き合っています。」

イ・ドンフン共同院長

注射施術は、痛みが心配でためらう方が特に多くいらっしゃいます。そこで麻酔から薬剤まで、一つひとつ見直しました。

  • 麻酔は丁寧に、時間はたっぷりと特殊な麻酔クリームが十分に効くよう、時間をたっぷり取ります。必要な施術や部位には麻酔注射を加えます。
  • 細い針で、短時間で注射施術には細い針を使い、院長が自ら短時間で仕上げます。施術中も状態を見ながら調整します。
  • 薬剤の構成まで考えます同じ施術でも薬剤によって感じる負担が変わることがあるため、その点まで考慮します。

麻酔の方法と使用の有無は、施術の種類・部位とご本人の状態により診察後に決まります。痛みの感じ方には個人差があります。

脇と体のボトックスは100ユニット基準でニューラックス、コアトックス、ゼオミン、アラガンBOTOX、ディスポートをご案内しています。価格は製品と用量によって変わり、すべての金額は付加価値税別です。ボディボトックスは部位と用量によって決まるため、正確な金額は施術・価格のご案内で単位別にご確認いただけます。

施術後のケアと副作用

  1. 病室の椅子に座って腕を下ろした女性患者と話す男性医療スタッフ
    こすらない 施術後12時間は脇をこすったり押さえたりしません。服を着るときも締めつけないものを選んでください。
  2. 患者と医師が話し、看護師がそばに立つ院内の風景
    横にならない 3~4時間は上半身を起こした姿勢を保ちます。
  3. 病室で水筒を持って座る患者を医師と看護師が見ながら話す場面
    激しい運動は控える 24時間はサウナや運動のように汗を多くかき血行が良くなる活動を控えます。
  4. 女性患者の脇を診る男性医師
    経過確認 2~4日から変化が始まり10日前後で最も大きく現れるので、その時期に汗の量と残ったあざをあわせて見ます。

よくある反応は注射部位の痛みと腫れ、赤み、あざです。たいてい1~2日以内に落ち着き、頭痛や首の痛み、消化不良が一緒に現れることもあります。顔に打つ場合はまぶたの下垂が報告されていますが、脇では注射部位の反応が中心です。

注射部位がだんだん腫れて熱が出て痛みが強くなる場合は感染のサインかもしれませんので、すぐに確認が必要です。 あざが1週間を過ぎても広がる、汗が減らない、左右差がはっきりしている場合は、次の予約を待たずにご来院ください。

よくある質問

エラボトックスは打って何日くらいから汗が減りますか?

注射の2~4日後から変化が始まり、10日前後で最も大きく現れます。それより早く判断すると効果を誤って読みやすいので、10日ほど経ってから汗の量と範囲をもう一度見てください。汗が出る範囲が広かったり程度が強かったりすると、体感が少し遅れることもあります。ですから施術前に汗がどの範囲から出るのか写真やメモで残しておくと比較しやすいですよ。10日ごろになっても変化がはっきりしない場合は、その状態のまま待たずにご来院のうえご相談いただくことをおすすめします。

効果が落ちたら、いつまた打ちますか?

3~4か月を目安にし、再治療の間隔は3~6か月の範囲で決めます。繰り返すうちに間隔が長くなる方もいるので、毎回打った日付を書いておくと次の時期を決めるのに役立ちます。効果が落ち始めた時期と打った日付を一緒に書いておくと、次の間隔を決めるときの基準になります。サウナや運動のように汗を多くかき血行が良くなる活動は、施術後24時間は控えるほうがよいですよ。

100ユニットと書かれた製品同士は同じ量ですか?

いいえ。ボツリヌストキシンは製品ごとに単位を定める基準が違うため1ユニットは同じ量ではなく、換算も推奨されていません。ですからカウンセリングではユニット数とともに製品名をあわせて確認する必要があります。以前に他のクリニックで打ったことがあれば、製品名と用量、打った日付を覚えておいてください。価格も割引価格より、単位と用量、付加価値税の込みかどうかをあわせて見るほうが比較しやすいです。

副作用が心配です。どんなものがよくありますか?

注射部位の痛みと腫れ、赤み、あざが最も多く、たいてい1~2日で落ち着きます。頭痛や首の痛みを伴うこともあります。まれに毒素が広がって嚥下や呼吸が難しくなる場合が報告されているため、そうした症状が出たらすぐに診療を受ける必要があります。施術後12時間は脇をこすったり押さえたりせず、3~4時間は上半身を起こした姿勢を保ってください。注射部位がだんだん腫れて熱が出て痛みが強くなる場合は感染のサインかもしれませんので、すぐに確認が必要です。

クリニックを選ぶとき、何を聞けばよいですか?

どの製品を何ユニット置くのか、注入ポイントをどう決めるのか、副作用と対処法を施術前に説明するかを確認してください。カウンセリングと施術を誰が行うのか、以前の施術の反応を記録として残すのかも見ておくとよいでしょう。価格は割引価格より、単位と用量、付加価値税の込みかどうかをあわせて見るほうが比較しやすいです。

ひと目でわかる

表2 ひと目でわかる
項目 ポイント
仕組み 汗腺へ向かう神経信号を減らして汗の分泌を押さえる
効果の開始 注射2~4日後に開始、10日前後で最大
持続と間隔 3~4か月持続、3~6か月間隔で繰り返し
結果を分けるもの 汗の範囲と程度、用量、製品、注入ポイント
よくある反応 注射部位の痛み、腫れ、あざ、頭痛
すぐ診療が必要なサイン 注射部位の感染の兆候、嚥下と呼吸の困難