顔がこけて見えるので注射を検討しているが、ラディエスとスカルプトラのどちらから見ればよいかわからない、というご質問を診察室でよく受けます。どちらもコラーゲンを刺激する注射なので、説明を聞くとボリューム感と持続期間の話が混ざって、さらに迷いやすくなります。2つの製品が体内でする仕事と、エビデンスが蓄積された部位、結果が現れる時期のどこで分かれるかを見れば、判断はシンプルになります。

まず結論から

ラディエスはカルシウムヒドロキシアパタイト(CaHA)微粒子をジェルに混ぜた注射です。ジェルが場所を埋める即時のボリュームと、微粒子が引き出すコラーゲン刺激が一度に重なります(国際皮膚科学会誌のレビュー)。スカルプトラはポリ-L-乳酸(PLLA) で作られたコラーゲン刺激剤なので、注入直後に作るボリュームはほとんどありません。注入した液が吸収されたあと、自分が新しく作ったコラーゲンで結果が満ちてきて、全体の結果を見るまでに4~6週間かかり、2年以上持続することがあると案内されています(クリーブランドクリニック)。ですから最初の分かれ道は、今日埋められたいのか、数か月かけてゆっくり変わりたいのかです。

ラディエスとスカルプトラは体内でそれぞれ何をしますか?

ラディエスの材料は2つです。カルシウム微粒子と、それを浮かせておくカルボキシメチルセルロースのジェルです。2023年のレビューは、この組み合わせが粘度や弾性といった物性のおかげで用途が広いとまとめています。注入直後はジェルが空いた空間を埋めて輪郭がすぐ変わり、ジェルが吸収されたあとは残った微粒子の周りに線維芽細胞(コラーゲンを作る細胞)が集まり、コラーゲンが新しく敷かれます。充填と刺激が時間差で続く構造です。

男性医師が女性患者に皮膚の断面構造を説明している様子

スカルプトラはポリ-L-乳酸のジェルです。クリーブランドクリニックは、この物質が注入されて数日以内に体に吸収されながら、細胞がコラーゲンをもっと作るよう刺激すると説明しています。コラーゲンは皮膚に構造と支えを与えるタンパク質なので、結果は入れた物質の体積ではなく、自分が新しく作った組織から出てきます。注入直後に満ちた感じは注入液とむくみによるもので、数日経つとまた落ち着きます。

スカルプトラについて、フィラーなのかそうでないのかを論じる話がよく出ます。クリーブランドクリニックはスカルプトラを真皮フィラーの一種として紹介しています。ただしヒアルロン酸フィラーのようにジェルが直接体積を作る方式とは性質が異なり、作用はコラーゲン刺激剤の側に近いです。分類と作用の仕組みが別々に動くという点を押さえておくと、説明が混乱しにくくなります。

どんな顔と部位にどちらが合いますか?

ラディエスは特定の部位のエビデンスが厚いです。レビューは、頬、あごライン、HIV関連の顔面脂肪萎縮、ほうれい線で安全で効果的な選択になり得ると報告し、マリオネットラインやあご、眉間のしわ、口角も反応が良いほうだと付け加えています。こけた場所がどこかはっきりしていて、そこを今上げたいときに力が湧きます。反対に何倍にも薄く希釈して広く置く方法は、ランダム化比較試験がまだ発表されておらず、きめの改善を狙った希釈施術はエビデンスのレベルが一段低いと見ておくべきです。

スカルプトラは、顔全体のボリュームが減り、皮膚が薄くなった感じがするときに検討します。クリーブランドクリニックは、深いしわを減らす目的と、こけた部位を上げる目的、脂肪減少でできた陥没の治療を用途として挙げています。1か所だけを狙って上げるというより、広い面積がゆっくり変わることを望む側に合います。

判断が分かれるのは、今埋める必要があるかどうかです。頬の横がえぐれて見えることと、皮膚全体が薄くなって輪郭が崩れたことは別の問題です。カウンセリングでは、こけが脂肪のせいなのか、組織がたるんでいるせいなのか、骨格がもともとそうなのかから見ます。原因が違えば、同じ注射でも違う結果になります。

結果はいつ現れ、どれくらい持続しますか?

スカルプトラは全体の結果を確認するまで4~6週間かかると案内されています。真皮フィラーの中には2年以上持続するものがあり、維持には数年ごとの反復注入が必要になることがあります。この期間は、注入した物質がそのまま残っている時間とは違います。コラーゲンが作られて定着するのに時間がかかるので、むくみが引いたあとに同じ照明と角度で写真を残しておくと、変化が目に入ります。

ラディエスは即座に埋まるボリュームと、数か月かけて厚くなるコラーゲンが重なります。レビューは部位ごとのエビデンスのレベルをまとめましたが、持続期間を1つの数字で確定してはいません。同じ製品でも、どれだけ薄く置いたか、どの深さに入れたか、その部位がどれだけよく動くかによって体感が変わります。

早く満ちることと長く持つことは別の問題で、長く持つ側は自分のコラーゲンがどれだけ作られたかによります。

表1 結果はいつ現れ、どれくらい持続しますか?
区分 ラディエス(CaHA) スカルプトラ(PLLA)
主成分 カルシウムヒドロキシアパタイト微粒子とカルボキシメチルセルロースジェル ポリ-L-乳酸ジェル
注入直後 ジェルが場所を埋めてすぐ満ちる 注入液とむくみでしばらく満ちたあと落ち着く
結果が満ちる仕組み 充填とコラーゲン刺激が重なる 自分が作ったコラーゲンでゆっくり
エビデンスが蓄積された部位 頬、あごライン、ほうれい線、口元 顔の深いしわとこけた部位
結果確認の時期 直後のボリューム、その後数か月かけて 4~6週間で全体の結果
持続 希釈と深さ、部位によって異なる 2年以上可能、反復注入が必要なことがある

表は左右にスクロールしてご覧ください。

まとめると 今見えている場所を埋めながらコラーゲンまで一緒に狙うのがラディエス、時間をかけて自分のコラーゲンで広く変わりたいのがスカルプトラです。スケジュールが短いなら、回数を前提とする側は選択が難しいです。

短い滞在中に受けてもいいですか?

海外から短く滞在するスケジュールなら、回数の考え方が結果を分けます。スカルプトラは何回かに分けて受ける方式なので、1回受けて出国すると次の回を続けるのが難しくなります。1回の施術で終わる概念ではなく、残りの回を空ければ、かけた時間と費用が結果につながりません。

ラディエスは1回で充填と刺激が一緒に始まります。ただし注入直後はむくみや内出血が残り、圧痛が数日続くことがあります。帰国の航空便が施術の翌日なら、むくみが残った顔で長距離移動をすることになります。スケジュールが詰まっているなら、出国の3日ほど前に施術日を置くほうが楽です。施術部位に炎症やヘルペスが出ている状態なら、スケジュールを延期するほうが安全です。

こんな状況なら

撮影現場で白いドレスの女性と白い白衣の男性、レフ板を持つ女性

結婚式や撮影が1~2か月先のとき

スカルプトラは結果が4~6週間かけて満ちるので、撮影日が迫っているなら時間が合いません。ラディエスは即座に埋まりますが、注入直後はむくみが残るので、行事の最低2週間前には余裕をとるほうが安全です。写真を撮る場なら、内出血しやすい部位をあらかじめ話しておくとよいです。

医師が患者の頬とあごラインを診ている

頬とあごラインのこけがはっきりしているとき

ラディエスのエビデンスが最も多く蓄積された部位が頬とあごライン、ほうれい線です。こけた場所を正確に指せて、その場所だけを上げたいなら、カウンセリングでまず出してみる選択肢です。ただし同じ部位でも、脂肪が減ったせいなのか、たるんだせいなのかでアプローチが変わります。

男性医師が女性患者の頬の皮膚を手袋の手で診ている

皮膚が薄く、内出血しやすいほうのとき

注射施術のあとの内出血や圧痛はよくある反応で、たいてい数日以内に落ち着きます。薄い皮膚ならむくみがより長く目立つことがあるので、大事な予定の前は時期を調整します。スカルプトラは回数を何度も通う必要があるので、来院の負担も一緒に考えておくべきです。

男性医師と女性患者が机を挟んでカウンセリングする様子、患者の隣に旅行かばん

短い滞在中に来院する海外在住者のとき

カウンセリングに使える時間が1日しかないことが多いです。服用中の薬とこれまでのフィラー・スキンブースター施術の履歴、アレルギー反応をあらかじめ整理してくると、カウンセリングで確認する時間が減ります。帰国の日付と大事な予定も最初の会話で伝えていただけると、施術日を決めやすくなります。

カウンセリング前に教えてください 最近の紫外線曝露(旅行先での屋外活動を含む)、服用中の薬とビタミン・サプリメント、塗るレチノイドや酸の成分、これまでのフィラー・スキンブースター施術の履歴とそのときの反応、アレルギー、妊娠・授乳の有無、帰国の日付と避けられない予定です。

ATTITUDE Clinicはこのように進めます

  1. 精密診断と皮膚分析 皮膚の状態を機器で記録し、整理して一緒に見ます。分析ツールは情報を記録して整理するだけで、医学的診断はしません。
  2. 院長カウンセリング 分析記録にお悩みや生活習慣、これまでの施術経験を加えて、何が必要で何が必要でないか、どの順番で行うかを決めます。
  3. 院長が直接施術 決めた計画どおりに院長が施術し、進行中に皮膚の反応を見ながら量と深さを調整します。
  4. 回復とケア 施術後の反応とケア方法を案内し、むくみが引いた時点で経過をもう一度確認します。

院長が自ら担う4つのステップ

診断機器の前から施術台の上まで、最初にカウンセリングした院長がそのまま担当します。

  1. 独立した診断室にある肌の精密診断機器

    精密診断

    独立した診断室で顔全体を撮影し、目では見えにくい肌の状態まで記録します。

  2. イ・ドンフン共同院長が肌分析の結果を画面で説明する様子

    肌分析

    毛穴・色素・しわ・弾力の結果を院長が画面で一緒に確認し、何から始めるべきかを説明します。

  3. イ・ジェミン共同院長が来院者と1対1で診断結果を見ながらカウンセリングする様子

    1:1デザイン

    肌と顔のバランス、望む変化やスケジュールまで踏まえて、施術と範囲を一緒に決めます。

  4. イ・ジェミン共同院長が自らリフティング施術を行う様子

    院長による施術

    カウンセリングした院長が個室の施術室で最初から最後まで施術します。途中で担当が変わることはありません。

イ・ドンフン共同院長が自ら施術する様子

「注射の痛みには、本気で向き合っています。」

イ・ドンフン共同院長

注射施術は、痛みが心配でためらう方が特に多くいらっしゃいます。そこで麻酔から薬剤まで、一つひとつ見直しました。

  • 麻酔は丁寧に、時間はたっぷりと特殊な麻酔クリームが十分に効くよう、時間をたっぷり取ります。必要な施術や部位には麻酔注射を加えます。
  • 細い針で、短時間で注射施術には細い針を使い、院長が自ら短時間で仕上げます。施術中も状態を見ながら調整します。
  • 薬剤の構成まで考えます同じ施術でも薬剤によって感じる負担が変わることがあるため、その点まで考慮します。

麻酔の方法と使用の有無は、施術の種類・部位とご本人の状態により診察後に決まります。痛みの感じ方には個人差があります。

このテーマで使う製品はラディエス(Merz)とスカルプトラ(Galderma)です。2つの製品はどちらもクリニックの価格表にバイアル単位の定価で公開されており、すべての金額はVAT別です(料金案内)。

施術後のケアと副作用

  1. 看護師が患者の頬に冷たいジェルパックを当て、男性が横で見守っている
    鎮静 施術当日はむくみと赤みが残ります。冷やして鎮静し、顔を強くこすりません。
  2. 女性が手で頬に保湿剤を塗り、男性が横で見守っている
    保湿 乾燥すると赤みが長引きます。刺激の少ない保湿剤を薄く何度も塗ります。
  3. 医師と話す患者が窓辺で日焼け止めを塗っている
    紫外線遮断 むくみが引いたあとも色素が定着しないよう、外出時は日焼け止めを欠かさません。
  4. 白い白衣の男性がカメラで女性患者の顔を撮影している
    経過確認 むくみが引いたあとに同じ照明と角度で写真を残します。変化の判断がずっとしやすくなります。

よくある反応は赤み、腫れ、圧痛、内出血です。たいてい数日以内に落ち着きます。まれに皮膚が一時的に暗くなったり明るくなったりする色素変化、水ぶくれ、注射後のしこり、やけどや瘢痕が生じることがあります。スカルプトラは米国FDAが運営する有害事象報告データベースにも関連の報告が上がっており(MAUDE)、結節のように触れるしこりはカウンセリングであらかじめ押さえておく項目です。

どんどん強くなる痛みや、時間が経っても落ち着かないむくみ・赤み、触れるしこり、皮膚の色の変化があれば、待たずにクリニックにご連絡ください。

よくある質問

ラディエスとスカルプトラの最も大きな違いは何ですか?

ラディエスはジェルが場所を埋める即時のボリュームがあり、そのあとをコラーゲン刺激が続きます。スカルプトラは即時のボリュームなしで、自分のコラーゲンが作られた分だけ結果が満ちてきます。ですから同じ顔でも、今埋めるべき場所があればラディエス、広い面積がゆっくり変わることを望むならスカルプトラの側に傾きます。結果が現れる時期も、ラディエスは数日以内、スカルプトラは4~6週間で分かれます。

スカルプトラのしこりはなぜできますか?

しこりは皮膚の下で硬く触れる塊で、注入した粒子に組織が反応する過程でできることがあります。ヒアルロン酸フィラーのようにすぐ溶かして消す方法がないので、注入量と希釈、深さを最初にどう決めるかが結果を分けます。カウンセリングでは、何バイアルをどの深さに分けて入れるか、以前に同じ製品を受けたことがあるかを確認します。しこりが触れるときは勝手にもまずかず、施術したクリニックに知らせるほうが安全です。

効果はどれくらい持続しますか?

スカルプトラは2年以上持続することがあり、維持のために数年ごとの反復注入が必要になることがあると案内されています。ラディエスは希釈の程度と注入の深さ、部位によって体感期間が変わるので、1つの数字で語るのは難しいです。どちらも持続期間は個人のコラーゲン生成能力と生活習慣の影響を受けます。施術後の写真を残しておくと、次の計画を立てるときに判断しやすくなります。

スカルプトラは1回だけで十分ですか?

通常は何回かに分けて受ける方式で、1回で終わる概念ではありません。必要な回数は、こけの程度と目標部位、皮膚の厚さによって変わります。短い滞在中なら、回数を続けられるかどうかから考えるべきです。1回受けて結果を判断するのは早いので、最初の回のあとは写真で比較する時点を一緒に決めます。

施術を受ける場所を決めるとき、どこを見ればいいですか?

どのメーカーのどの製品を使うか、希釈比率と注入の深さを誰が判断するか、カウンセリングした人と施術する人が同じかを見ます。価格がバイアル単位で公開されているかも確認する項目です(料金案内)。有害反応が起きたときにどう対応するか、これまでの施術履歴を検討するかも聞いてみるとよいです。同じ施術でも計画と実施がずれると結果が変わるという点は、何度も触れてきました。

ひと目でわかるまとめ

表2 ひと目でわかるまとめ
項目 ポイント
ラディエス CaHA微粒子とジェル、即時の充填とコラーゲン刺激が重なる
スカルプトラ PLLA、自分のコラーゲンでゆっくり満ちる
エビデンス部位 ラディエスは頬・あごライン・ほうれい線あたりのエビデンスが厚い
結果の時期 スカルプトラは4~6週間で全体の結果、2年以上持続可能
スケジュール 回数が必要なスカルプトラは短い滞在に不利
確認 製品、希釈と深さ、有害反応への対応をカウンセリングで確認