エラが大きく見えるという悩みでカウンセリングルームに来ると、「ボトックスを打つべきですか、脂肪溶解注射を打つべきですか」という質問をよく聞きます。名前が違うのだから役割も違うのだろうと思われがちですが、2つの施術が皮膚のどこに働きかけるのかは、あまり知られていません。答えは、その部位を大きく見せているのが筋肉なのか脂肪なのかで分かれます。

まず結論から

ボツリヌストキシンは筋肉に入って神経の信号を遮断する薬剤で、脂肪溶解注射は皮膚の下の脂肪層を目標とします。そのため、エラが筋肉のために目立って見えるならボトックス、脂肪層が厚くて丸く見えるなら脂肪を扱う注射が検討対象になります。2つの施術は薬の単位も、効果が出る時期も、元に戻る仕組みも異なります。同じ日に一緒に行うかどうかは、異なる層に働きかけることになるため、順序と間隔を別々に決めます。どの注射がより良いかよりも、その部位を大きく見せている層が何かが先です。

なぜ同じ部位に別の注射を勧めるのか

ボトックスという名前はブランドに由来します。成分名はボツリヌストキシンで、クロストリジウム・ボツリヌムという細菌が作る神経毒素を実験室で精製して用います(クリーブランドクリニックの解説)。筋肉は神経終末からアセチルコリンという信号物質が出て初めて収縮しますが、ボツリヌストキシンはこの信号が出る経路を遮断します(DermNet)。信号が途絶えた筋肉は、力を入れようとしてもうまく収縮できません。

男性の医療スタッフが女性患者に皮膚の断面図を見せて説明する様子

注射は筋肉の中に入ります。米国FDAが承認したボツリヌストキシン製品の処方情報を見ると、投与経路は筋肉内注射と記載され、適応も眉間のしわや目尻のしわのように特定の筋肉の動きと結びついた部位です(DailyMed)。この薬がすることは、その場所の筋肉を使いにくくすることです。

脂肪溶解注射は出発点が違います。皮膚の下には筋肉とは別に脂肪層があり、頬やあごの下がふっくら見える理由がこの層の厚さであることがあります。名前のとおり脂肪層を目標に設計された注射なので、筋肉を弛緩させる薬と作用する場所が重なりません。

ではなぜ同じエラなのに、ある人はボトックスで、ある人は脂肪の注射なのでしょうか。鏡に映る輪郭は筋肉と脂肪、皮膚がともに作る結果だからです。歯を食いしばったときに硬く盛り上がる感じが強いか、力を抜いた状態でつまんだときに柔らかくつかめる肉付きが厚いかが方向を分けます。この確認は目で見るだけではできないため、診察で手で触れて表情を作ってみながら判断します。

1つ押さえておきたいことがあります。ボツリヌストキシン製品同士は単位をそのまま比較できません。処方情報にも、製品ごとに単位の定義が異なり他の製剤の単位に換算できないと記載されています(DailyMed)。DermNetの資料でも、ボトックスとディスポートのおよその換算比率を1:2.5から1:5として紹介するだけで、国際的に統一された単位はないと明記しています(DermNet)。「50ユニット」という数字だけを見て2つの製品を同じ量とみなしてはいけない理由です。

ボトックスはいつから見えてどのくらい持つのか

効果が出る時期は、筋肉が力を失う速さと同じです。DermNetの資料を見ると、筋肉の弱まりは通常2~4日以内に始まり、最大効果は10日前後に現れます(DermNet)。打った直後に「まだそのままですが」と感じるのは自然なことなのです。

持続期間は永久ではありません。神経終末が再び伸びて筋肉とのつながりを新しく作る時期を、おおよそ3か月と説明しています(DermNet)。クリーブランドクリニックは平均3~4か月を持続期間として案内し、このころに再施術を勧めています(クリーブランドクリニック)。同じ資料では、繰り返すほど筋肉が少しずつ萎縮して施術間隔が長くなる場合もあると説明しています(DermNet)。

間隔は人によって異なります。表情筋を普段どれだけ使うか、筋肉の厚さと大きさがどうか、以前に同じ部位をどれだけ頻繁に施術したかが影響します。そのため「何か月ごと」と決めておくよりも、表情を作ったときに再び力が入ってくる時期を基準に次の日程を決めます。繰り返すほど間隔が長くなることもあるという点は、予定を組むときに前もって考えておきたい部分です。

脂肪溶解注射でまず見るもの

脂肪を扱う注射は、名前だけで性質が決まるわけではありません。製品ごとに入る成分と濃度が異なり、顔に使うために認められた範囲も違います。カウンセリングで最も先に確認するのもこの部分です。どの製品か、どんな成分が入るか、どの部位まで認められた製品かが決まって初めて、用量と間隔を話せます。

ATTITUDE Clinicの価格表には、脂肪溶解注射がステロイド不含の製品と顔専用のステロイド含有製品(彫刻注射)に分けて記載されています(施術および価格のご案内)。同じ脂肪の注射でも成分構成が違えば、体が反応する仕方も注意すべき点も変わります。そのため名前が同じという理由で、以前に打った注射と同じ施術だと決めつけません。

早く変化を見たい気持ちから、濃度を上げたり間隔を詰めたりしたくなる時があります。ただしどんな成分がどれだけ入るか、どれくらいでまた打つかが結果と回復に影響するため、製品と用量は診察後に決めます。ステロイドが入った製品かどうかはカウンセリングで確認してください。

2つの施術を一度に受けてもいいのか

顔の片側で筋肉と脂肪がともに関わっている場合があります。このとき2つの施術を一度に行うか分けて行うかは、効果だけで決めることではありません。異なる層に働きかける分だけ回復過程が重なり、どちらの反応か区別しにくくなるからです。一度に進めると腫れや内出血が重なって、予定を組むのも難しくなります。

ATTITUDE Clinicのコラムでは、同じ組み合わせでも一度に進めるか分けて進めるかによって、回復過程や体感される結果が変わりうると説明しています。どちらを先にするか、どれだけ間隔を置くかは、肌の状態と回復に使える時間、以前の施術経験をあわせて決めます。大切な予定があるなら、その日付を先に伝えていただくほうが順序を組むのに役立ちます。一緒にできるかどうかは2つの施術の効果ではなく、回復の日程が決めます。

表1 2つの施術を一度に受けてもいいのか
区分 狙う層 こんな悩みで検討 カウンセリングで確認すること
ボツリヌストキシン 筋肉 歯を食いしばると硬く盛り上がるエラ、表情じわ 製品の種類と単位、以前の施術間隔
脂肪溶解注射 皮膚の下の脂肪層 力を抜いてもふっくらつかめる頬、あごの下 成分と濃度、認められた部位、ステロイド含有の有無
彫刻注射 皮膚の下の脂肪層 顔の輪郭を部位ごとに整えたいとき 顔専用の製品か、用量と間隔

表は左右にスクロールしてご覧ください。

まとめると ボトックスは筋肉を、脂肪溶解注射は脂肪層を扱います。エラが目立つ理由が筋肉か脂肪かによって選択が分かれ、2つの施術を一緒に行うときは順序と間隔を別々に決めます。

こんな状況なら

医師と話す患者が指でエラの角を確認する様子

エラが大きく見えて悩んでいるとき

歯を食いしばったときにエラの角が硬く盛り上がるかをまず確認してみてください。硬い筋肉が主な原因なら筋肉を弛緩させる注射が検討対象になり、力を抜いた状態でも頬の下がふっくらするなら脂肪層を見る方向に変わります。両方が重なっていると、片方だけでは望む変化が小さいことがあるため、順序を分けて話します。

男性医師が指で数字を示しながら女性患者とカウンセリングする様子

大切な予定が数週間先のとき

ボトックスは2~4日に効果が始まり、10日前後に最大になります(DermNet)。撮影や結婚式が間近なら、この日程から逆算して日付を決めます。内出血や腫れが心配なら、予定に少し余裕を置くほうがよいでしょう。

診察室で患者の顔を間近で診る男性医師と患者

敏感で赤くなりやすい肌

注射の跡や赤みが長く残る肌なら、施術部位と刺激の強さを抑えて設定します。同じ量を一度に入れるより、分けて反応を見る方法もあります。普段から肌が赤くなりやすいほうなら、カウンセリングでその話を先に伝えてください。

診察室でタブレットを持って説明する男性医師と患者、患者の横に小さなキャリーケース

短く滞在する海外からの訪問者

ソウルに数日滞在する日程なら、施術後の経過を見る時間が短いことが変数になります。ボトックスは効果が出る時期が施術の数日後なので、滞在中に変化をすべて見るのは難しいです。出国日を伝えていただければ、その中で確認すべきことと帰国後に見るべきことを分けて案内します。

カウンセリングの前に教えてください 最近の紫外線曝露と旅行日程、服用中の薬とサプリメント(特に血栓予防薬や消炎鎮痛薬)、肌に塗る機能性製品、以前に受けた注射の製品と用量、日付、そのときの反応、そしてどうしても避けたい日付です。妊娠と授乳の有無もあわせて伝えてください。

ATTITUDE Clinicはこのように進めます

  1. 精密診断と肌分析 肌の状態を機器で記録し整理して一緒に見ます。分析ツールは情報を記録し整理する役割で、医学的診断は行いません。判断は院長が行います。
  2. 院長カウンセリング 記録に悩みや生活習慣、以前の施術経験を加え、何が必要で何が必要でないか、どんな順序と強さで行うかを決めます。ボトックスと脂肪の注射のどちらが先かもこの場で決まります。
  3. 院長による直接施術 カウンセリングで決めた計画どおりに院長が直接施術し、進行中は肌の反応を見ながら強さと量を調整します。計画と実行がずれないようにするためです。
  4. 回復とケア 施術後の反応を確認し、次の間隔と注意事項を案内します。正規品と正量を原則とし、価格はクリニックの案内の価格表に単位別で公開されています(施術および価格のご案内)。

院長が自ら担う4つのステップ

診断機器の前から施術台の上まで、最初にカウンセリングした院長がそのまま担当します。

  1. 独立した診断室にある肌の精密診断機器

    精密診断

    独立した診断室で顔全体を撮影し、目では見えにくい肌の状態まで記録します。

  2. イ・ドンフン共同院長が肌分析の結果を画面で説明する様子

    肌分析

    毛穴・色素・しわ・弾力の結果を院長が画面で一緒に確認し、何から始めるべきかを説明します。

  3. イ・ジェミン共同院長が来院者と1対1で診断結果を見ながらカウンセリングする様子

    1:1デザイン

    肌と顔のバランス、望む変化やスケジュールまで踏まえて、施術と範囲を一緒に決めます。

  4. イ・ジェミン共同院長が自らリフティング施術を行う様子

    院長による施術

    カウンセリングした院長が個室の施術室で最初から最後まで施術します。途中で担当が変わることはありません。

イ・ドンフン共同院長が自ら施術する様子

「注射の痛みには、本気で向き合っています。」

イ・ドンフン共同院長

注射施術は、痛みが心配でためらう方が特に多くいらっしゃいます。そこで麻酔から薬剤まで、一つひとつ見直しました。

  • 麻酔は丁寧に、時間はたっぷりと特殊な麻酔クリームが十分に効くよう、時間をたっぷり取ります。必要な施術や部位には麻酔注射を加えます。
  • 細い針で、短時間で注射施術には細い針を使い、院長が自ら短時間で仕上げます。施術中も状態を見ながら調整します。
  • 薬剤の構成まで考えます同じ施術でも薬剤によって感じる負担が変わることがあるため、その点まで考慮します。

麻酔の方法と使用の有無は、施術の種類・部位とご本人の状態により診察後に決まります。痛みの感じ方には個人差があります。

このテーマで使う製品は、価格表に書かれた範囲の中から選びます。ボツリヌストキシンはニューロノックス、コアトックス、ゼオミン、アラガンボトックス、ディスポートなどの製品があり、脂肪溶解注射はステロイド不含の製品と顔専用の彫刻注射に分かれます。製品ごとに単位と成分が異なるため、同じユニット数で並べて比較しません。

施術後のケアと副作用

  1. 診察室で患者と向かい合って話す医療スタッフ
    刺激を減らす 施術部位をこすったり押したりしません。クリーブランドクリニックは12時間のあいだこすったり圧迫したりせず、24時間は激しい運動を避けるよう案内しています(クリーブランドクリニック)。
  2. ベッドに横たわる患者の顔に手袋をした女性が冷たい圧迫を当て、男性が横で見守る様子
    鎮静と保湿 赤みや腫れがあるときは冷やして鎮静し、保湿を続けます。サウナや熱い入浴のように熱を加える刺激は避けます。
  3. クリニックの入口で紫外線遮断剤を塗る女性と医師の様子
    紫外線対策 施術直後の肌は敏感になっています。外出するときは紫外線遮断剤を塗り、日陰を利用します。
  4. 手袋をした男性の医療スタッフが女性患者のあごのラインを診る様子
    経過確認 内出血や腫れが減っていく流れを見て、効果が出る時期に合わせて次の予定を決めます。

よくある反応は注射部位の痛みと腫れ、赤み、内出血です。多くは1~2日以内に落ち着きます(クリーブランドクリニック)。目元に打った場合は目がしみたり赤くなったりすることがあり、注射後のしこりや色素の変化、水ぶくれができる場合もまれにあります。

まれですが見逃してはいけないサインがあります。ボツリヌストキシンは注射部位から離れた場所に影響を与えることがあり、飲み込みや息がしにくくなる症状は直ちに診療が必要です(DailyMed)。まぶたが下がったり手足に力が入らない感じ、言葉がもつれる変化もそれにあたります。飲み込みや呼吸が不快ならすぐに連絡してください。

待ってよくなる反応とそうでない反応があります。内出血と腫れは時間がたつと引きますが、痛みがだんだん強くなったり、腫れが引かずに硬く固まる感じ、肌の色がはっきり変わる変化は、次の予約を待たずに確認するほうがよいでしょう。

よくある質問

ボトックスと脂肪溶解注射を同じ日に打ってもいいですか?

異なる層に働きかけるため、一緒にできるかどうかは状態によって変わります。一度に進めると回復過程が重なり、どちらの反応か区別しにくくなることがあります。順序と間隔は肌の状態と回復に使える時間を踏まえて決めます。予定が決まっているなら、カウンセリングのときに日付を先に伝えてください。同じ組み合わせでも分けて進めると体感が変わることがある点は、コラムでも触れています。

エラにはどちらが合いますか?

その部位を大きく見せているのが筋肉か脂肪かによって分かれます。歯を食いしばったときに硬く盛り上がれば筋肉のほうを、力を抜いた状態でもふっくらつかめれば脂肪層のほうを先に見ます。両方が重なっていると、片方だけでは変化が小さいことがあるため、順序を分けて話します。診察で手で触れて表情を作ってみながら、どちらの比重が大きいかを確認します。

効果はいつから現れ、どのくらい持続しますか?

ボトックスは2~4日に始まり10日前後に最大となり、平均3~4か月持続します(クリーブランドクリニック)。繰り返すほど間隔が長くなる場合もあります(DermNet)。脂肪を扱う注射は製品と用量によって反応の時期が変わるため、カウンセリングで決めた日程を基準に経過を見ます。同じ製品でも腫れが引く速さは人によって異なります。

ボトックス耐性ができたらどうなりますか?

同じ用量を打っても反応が減るかどうかを自分で判断するのは難しいです。以前に使った製品と用量、間隔、そのときの反応を記録しておくとカウンセリングで役立ちます。製品ごとに単位が異なるため、別の製品のユニット数と比べるのも正確ではありません(DailyMed)。反応が変わったと感じたら、次の予約を先延ばしにせずカウンセリングで確認してください。

クリニックは何を見て選べばいいですか?

どんな製品を使うか、認められた部位か、誰がカウンセリングして施術するかを見ます。カウンセリングと施術を同じ人が行えば、計画と実行がずれる幅が小さくなります。価格が単位別に公開されているかも比較に役立ちます(施術および価格のご案内)。名前が同じ施術でも製品と用量が違えば別の施術なので、何をどれだけ入れるかを尋ねることから比較が始まります。

ひと目でわかるまとめ

表2 ひと目でわかるまとめ
項目 ポイント
作用する部位 ボトックスは筋肉、脂肪溶解注射は皮膚の下の脂肪層
選択の基準 その部位を大きく見せている層が何か
ボトックスの開始 2~4日後に始まり、10日前後に最大
ボトックスの持続 平均3~4か月、繰り返すうちに間隔が長くなることも
確認すること 製品名、成分、認められた部位、ステロイド含有の有無
一緒に行うとき 順序と間隔を別々に決める